映画『ゴジラ-1.0』公式サイト (toho.co.jp)

◆観るべき？

観た俺が観てない俺に言うのであれば観なくていい。とはいえお前がどう感じるか知らないし観たいなら観ればいいんだよ。つまらないということもないので観てもいい。いやでも終盤は早く終わんねぇかなとか思ってた。

予告はゴジラ率が高くて面白そう。

◆どんな映画でしたか

シャバい映画でした。シャべぇ。登場人物がシャバ僧ばっか。

最近SNSで社会人経験なさそうって煽りが見受けられるけど、そういう映画。社会人経験なさそうな人が作ってる映画。社会人経験ない人からしたら素直な気持ちで観ていられるのかもしれない。

映画を観終わった後でHASEが「山崎貴だしな」とか言い始めて初めて気づいたのだが、山崎貴だった。あの炎上してたドラクエとかドラ泣き（笑）の監督。その情報は観る前に聞きたかったかな。

◆朝ドラ

NHKの朝の連ドラみたいな映画。ドラクエ作ったりドラ泣き作ったり朝ドラ作ったりドラドラドラドラドラドラドラドラ。撮り方もセリフも表情も連続テレビ小説っぽくて、連続テレビ小説を撮ろうとしてんのかなアレは。

「連続テレビ小説ごじら」ってワードを考え付いたんだが、Twitterで検索したら既出でした。そういうこと多くて困る。

時間が限られてるんでしょうがないとは思うが、朝ドラにしては世界が狭くて広がりも深みも感じられない。舞台は工夫と集中により広く見せられているのだが社会を表現できてない。狭いところでわちゃわちゃしてゴジラをやっつけちゃった。

人間ドラマに重きを置いてたんでゴジラは主役じゃなかったし、それにしては人間ドラマもとってつけたような、どっかで見たような展開で進んでいて退屈だったかも。

撮影の仕方も特撮よりは連ドラ。あるいはドリフ。セットで撮影するのは構わんけど空気感が軽すぎる。舞台が戦後すぐなんだし、ある程度は昭和っていうか松田優作とか高倉健とか勝新太郎とか、つまり大映の映画みたいな撮り方に寄せたほうが合ってるんじゃないの。いや寄せなくてもいいけど参考にはなる手法があったはずだ。

◆シャバいとは

見ごたえが中盤から高校部活動をテーマにした映画みたいでしたわ。ゴジラ部がまぁまぁ雑な計画でゴジラを殺そうとして失敗するんだけど、プラン外の根性ムーブでピンチを切り抜けそうになったりして、結果エースが抑える。エースの病気の妹は手術成功して生きてる。みたいな。だから見ていて退屈だった。この人たち本気ではないのだなと感じてしまった。

対ゴジラの行動が、何もかも大人のしていいことじゃない。クソガキがわちゃわちゃ集まってラッキーパンチでゴジラ倒して、結果の確認もまともにできない。考えが足りていなさすぎる。社会人経験がない。世の中のプロジェクトがどのように立案計画されて実行されてるのかって感覚が全然ない。本気度が感じられないんで没入できない。ぜってぇ殺す感がなくて甘ったるいカスみたいなリカバリーも有って無いような計画に賭けて、内部統制もとれず必要な予備リソースも集められない。本意気であのザマならとんだアホ集団だわ。

水圧で殺すってなんだ？戦車砲くって無傷な生き物を海水圧で無力化できるって、どうしてそう思ったわけ。あとゴジラはなんで海面あたりで直立ができてるんだ。見えないとこでバタ足しとるんか。

政府批判の仕方もふわふわだったな。不信感だけを拠り所にして想像ベースで批判を展開してしまう。シャバすぎる。Twitter限界左翼を連想しちゃうのでやめてください。シンゴジラでされたような政府に対するシニカルな当てこすりを観たうえであんな表現してんのなら残念にもほどがある。

政府とかGHQがゴジラ討伐に関わってこないのは、かなり無理があるけど呑み込めなくはない。裏でやり取りはあったのかもしれない。でも（略

◆特攻の匂わせ

特攻隊が特攻するに至った経緯とか戦況とか見込まれた効果とかを深く考えずに特攻という表現を匂わせるべきではない。

爆弾は補給可能で燃料も補給可能で航空機が一機しかなくて時間的猶予があってパイロットの回収ができる状況じゃないか。じゃあ特攻なんて秘密裏に計画してんじゃねぇよダボハゼが。お前が死ぬのは勝手だが戦闘機を使い捨てる判断はありえない。せめて、せめて部隊に共有しろ。

というところで、何度も言うけど本気度が感じられない。ゴジラを相手に雑にやってると感じたのだわ。本気で取り組む様子を映画にしないと感動は起こせないんじゃないの？本気をゴジラに捻り潰されたから恐ろしかったんじゃないの？子供は騙せるでしょうけど大人は騙せませんよ。

◆セリフ

全部言う。口に出してしまう。説明的セリフも多い。口に出しちゃうから演技の幅も狭められてた。役が浅く見えた。

撮り方とか表情とか所作とか空模様とか景色とかで慎ましく表現するようなこと出来ないわけ？シン仮面ライダー観ました？

◆音楽

ゴジラのテーマ曲が二度流れるんだが、二度目が人間側の攻勢で流されていて変でした。自衛隊だったら伊福部のマーチが流れるような場面です。曲の持つ意味も印象も理解せずに垂れ流してんのが気に食わん。

ゴジラのテーマソングを、なんか盛り上がってるときに流せばいいやとか考えてるのはキツイっすね。

◆ゴジラが活躍してないかも

ゴジラという生物が良くわからんまま終わった。ゴジラが舞台装置でしかなかったな。その割にはメインビジュアルにはゴジラしか見えていない。それは間違ってます。詐欺もどきです。

タイムラインもゴジラに沿っておらず、この映画にとって都合のいいタイミングでゴジラが登場して暴れてくれる。ある意味で思い通りに動くんで物足りない。

人がちゃんとゴジラにぶっ殺されるのは「おっ」と思ったけど、なんだかそれだけで終わってしまった。怖がらせるためだけだったんかな。その辺も都合のいいゴジラと俺が感じた理由なのかも。都合ジラ。

◆結

庵野はようやっとる。素直にそう言いたくないけど、いい加減認めざるを得ない。予算をかけたからってあそこまでシンゴジラが面白くなる保証はなかった。人間の表現もシンゴジラのほうが上回ってるわけだし。