ディズニー実写映画とかバービーとかプリキュアとか。

◆実写版白雪姫のメインキャストによる主張

インタビューでレイチェルは「(私が演じる)白雪姫は王子さまに救ってもらうプリンセスではない」「真実の愛があると夢見ていない。彼女の夢はリーダーになること。亡くなった父親が『恐れを知らず、公正で勇敢で偽らなければなれる』と教えてくれたリーダーになりたいと思っている」とコメント、実写版ではアニメとは違うプリンセス像を表現すると話していた。

またイベントではレポーターに「オリジナルのアニメ版は嫌い」と発言。「あのアニメは文字通り彼女をストーキングする男とのラブストーリーに焦点が当てられている。すごい変! だから今回はそういう話にしていない」と語っていた。

実写版『白雪姫』のレイチェル・ゼグラー、アニメ版のプリンセスを批判 「偽フェミニスト」だと反論される | カルチャー | ELLE [エル デジタル]魚拓

あぁん。

政治的な主張を過去の作品に被せてくる流れは何なんだろうか。作品イメージを捻じ曲げてはいかんと思うんですけど。

とはいえ、グリム童話の白雪姫とディズニー版の白雪姫もわりかし違うとか聞いたことがある。

グリム 菊池寛訳 白雪姫 (aozora.gr.jp)

結構違うもんだな。回復方法がわけわからんし最後なんだか急に怖いし。

ディズニー版はパブリックドメインになってるそうな。

実写版の主演女優が言うように、ディズニー版の白雪姫は強くないし男性に保護されている。…か?七人の小人を手玉に取ってるように伺えるけど。とはいえ少女漫画的な描写もある。それにしてもこれはフィクションであって、今観ても良く作ってあるし需要がないとも思えない。

王子の再登場が急すぎるし、いきなり口にキスをしちゃうのも違和感ではある。愛や繋がりを表現できてるとも思えないし表現しようともしてない。童話。

都合良くイケメン王子様が現れて助けてくれたり愛してくれたりして最高だぜ☆みたいな状況を望む女性は現代社会においても存在している。だって日本の恋愛ドラマが一部そう作ってあるんだから。それゆえ、50年以上前に制作されたアニメの主役であるところの白雪姫が強くなく、男性に頼っている面があるからと言って罵られる謂れは無い。

アニメなんて好いても嫌ってもいいという前提のもとで、嫌う理由が恐ろしいわ。白雪姫がリーダーのロールに就かないからと言って、それを嫌悪し始めたら大抵の人間を嫌悪することになる。

自分が認める女性像から外れる表現を嫌いだと公言していいけど、それは自分に跳ね返りうる。誰か個人が想定する女性像なんて正しいはずがないわけで、それに合致しない女性を嫌うんなら、自分が独立した感情を持つ女性個人であることを理由に嫌われる実例を自ずから作っていることになる。己の独りよがりなイメージと理想を拠り所に人格の好き嫌いを決めているんだから。

◆政治的主張

誰もが自分の理想像を持って互いに互いを認められる社会であった方が生きやすいんじゃないの。まして普遍性に欠ける政治的考えから誰かを抑圧していいなんてことはない。だから白雪姫を好む人がいていいし嫌う人がいていい。自由。

自由であるからして、実写版の白雪姫を作るんなら元の白雪姫の表現を尊重するべきではないか。だって白雪姫を好む人がいるわけだから。実写版味噌ラーメンを注文して月見うどんを出されたら脳みそバグるわ。月見うどんが嫌いなわけじゃないけど味噌ラーメンって品書きに書かれてたら味噌味のラーメンを期待するだろが。月見うどんのほうが卵があって栄養が摂れるとか言われても、知らんし。みんなが評価したのは月見うどんじゃなくて味噌ラーメンだったんだし。

政治的なポジションがあって白雪姫を否定するのはいいけど、否定するんなら白雪姫に関わるべきじゃなくない?白雪姫という作品がターゲットにしている層は「いつか王子様が」と望む少女の存在を違和感なく認められる人だ。誰かの恋の夢を「それは変で正しくない」とか言える独善的な人間が白雪姫の実写化に携わっていいわけはない。

◆肌の色

白雪姫の実写化をするんだから、白雪姫の実力を認めているんだろう。であるなら白雪姫という作品を守るべきだよ。snow whiteと言っている以上は肌が白くないと話が変わってくる。肌が白くないsnow whiteを求めるんなら、それは白雪姫じゃない。別の作品を作るべきだった。

実写版リトルマーメイドも、アリエルをアフリカ系アメリカ人(黒人)にしてしまった。それまでディズニーが守ってきたアリエルというアイコンは白い肌で赤い髪であるから合致しない。

合致しないんだとしたら、リトルマーメイドそのものとして実写化するべきではなかったでしょう。アリエルという名前を当てるべきではなかったでしょう。

社会の要請に応じた先進的な作品を作るのはどうぞいくらでもやればいい。でもイメージが既に固まっているものを変更したいんと言うのであれば、続編とかオマージュとかって位置づけで新作を卸すべきなんじゃないかね。スパイダーマンとかそうしてるじゃん。

ライオンキングの実写化をするんだとして、動物愛護の観点から全キャラクターをロボットにしてもいい。でもそれはライオンキングそのものとは認められない。ライオンキング・フューチャーのシンバMk-Ⅱなら認める。

「リトルマーメイド~熱闘編~」みたいにサブタイトルを付けて主人公の名前も変えておけば、こんな無用な争いは起こらなかっただろうよ。誰のイメージも覆されなければ誰の思い出も更新されなかった。

Disney Junior’s Ariel (TV Series 2024– ) – IMDb

これな。実写化するときに「人種は関係ない」とか言ってたのに肌が限界まで黒いじゃないですか。言ってることがおかしいよ。

◆バービー

以下の感想が軽く炎上していた。

この批評は的を射てるとは思えない。俺はこの映画観てないけど。

「男性を必要としない自立した女性のための映画」もあって良いし、それは個人的にバービーのイメージから乖離してない。そしてこの映画はアメリカではPG-13(13歳未満は保護者の強い指導が必要)で扱われている。

バービー人形ってポリコレがゴリゴリするように進化してきたんだから、この映画もそれに則っていていいじゃん。バービー人形を何歳の女の子が買うんだか俺は詳しくないけど、ポリコレを重視する界隈に訴求した人形の映画化なんだからフェミニズム盛り盛りであって然るべきじゃないの。異性と助け合って生きていきたい人もいれば、一人で強く生きていきたい人もいる。一人はそもそも弱いけど。

バービーの映画を誰が見に来るって、メイン客層は当然ながら女性じゃないか。だから女性向けの非現実的なポルノ映画を作るのが正しいわけで、そこに男性視点で苦情を言うのはイタすぎる。AVに文句を言うオバサンと同じだよ。「痴漢で善がる女性はいない」とか「ガシマンテみたいなガシマンで気持ちがいいわけない」とか「時間が止まるわけない」とか。ファンタジーですからどちらも。バービーを絶賛するフェミニストに説教かますのはAVをリアルだと絶賛する童貞に説教するのと同じ。女がオナるために作った映画に男が文句を言ってるのは滑稽。野暮。興覚め。

▼バービーのポリティカルコレクトネス

バービーは多様性を重視している。バービー人形には様々な職業と人種が用意されているし、車椅子のバービー人形とかダウン症のバービー人形がある。マジで。

ダウン症のバービー人形が登場 多様性足りないとの批判受け – BBCニュース魚拓

それを知識として俺は知ってたから映画がどうなっていてもそんなに驚きはしない。いやどうなんだろ。なんにせよ俺にはあまり関係ないっていうか。

映画『バービー』を公開中止に追い込んだ“九段線”…それでもハリウッド映画に映り込む理由 | FRIDAYデジタル (kodansha.co.jp)魚拓

うーんw

アメリカ先住民を差別するセリフがあったりもしたらしいんで不穏ではある。原爆投下を揶揄するツイートに公式がノリノリでリプライしてたのも問題になってたね。

◆プリキュア

面白ければなんでもいいんだけど、男のプリキュアとか出てくるのはどうなんだろか。

キュアウィング / 夕凪 ツバサ | ひろがるスカイ!プリキュア | 東映アニメーション (toei-anim.co.jp)

そして男しかいないプリキュアとかも出てきてるし。

『Dancing☆Starプリキュア』The Stage公式サイト (marv.jp)魚拓

プリキュアは原作プリキュアだから何してもいいだろうけど、例えば「男の子がプリキュアになってもいいのだ」みたいなメッセージを含んでいるんだとしたらキツいかも。プリキュアに憧れてる男の子がいたんだとして、男のプリキュアが登場したら受け入れられるのかな。あまり喜ばないような気もする。いや喜ぶのか…?

バービーが好きだったダウン症の子供のうち、ダウン症のバービーが発売されたことを肯定的に捉えるのは何割?って思っちゃうわ。自分みたいなもののせいでダウン症のバービーが作られてしまったのかって考えやしないだろうか。俺の杞憂ならいいけど。

ほんでダウン症のプリキュアが出てくるんですかね。良いんだか悪いんだか。

とはいえ、長期に亘るシリーズだからなんにせよ変化は必要だろうな。同じことを延々続けていては生き残れない。

◆結

色々書いたけど好きにしてくれ。何もかも好きにしろ。白雪姫だってもうガンアクション映画にでもしてしまえばいい。プーさんもホラー映画にされてたし。

映画『プー あくまのくまさん』公式サイト (akumano-pooh.com)