面白さが説明できそうにないものについて説明を試み、やっぱり説明できないという記事。
◆PPAP
まずタイトルから「Pen-Pineapple-Apple-Pen」についての動画であり、それはPPAPであるということがわかる。
動画が始まると、コワモテの男がPPAPと発言し、音楽に合わせて軽快なステップを踏み始める。緊張と緩和。怖いことが起こりそうな雰囲気から気の抜けた感じがするので笑いやすくなる。
男(ピコ太郎)は音楽に合わせながらジェスチャーを始める。
「I have a pen.」「I have an apple.」ウーン「Apple pen!」
この時点で実は面白い。なぜなら、AppleにPenを刺したものをApple penってあまり呼びたくないから。Apple penでは無いはずなのにApple penでは無いとも言い切れないのが面白い。PenをAppleに刺そうと思った動機も良くわからないし、それを歌ってるのも意味が分からない。
つづいて
「I have a pen.」「I have a pineapple.」ウーン「Pineapple pen!」
Apple penで発生した混乱を特に回収しないまま、当然の権利のようにPineapple penを作成する。Apple penにこちら側が合意したわけじゃないのに「さっきのがApple penだったからこれはPineapple penですよね?」と言われているような感じ。PineappleがAppleよりも堅そうなイメージを持ってるのもペンが刺さりづらそうで面白い。
前述の動きで二段階まで踏むことにより視聴者にパターンを了解させている。三段オチの一段目二段目を済ませたので、三段目で何かを裏切って笑いにすることができる。
そして作成した「Apple pen」「Pineapple pen」を手に持つ。
この後に何が起こるのか。視聴者の頭からは既にタイトルとか消滅しているので何の予想もついていない。その状態からさらにドッキングさせてPPAPを完成させる。
Apple Pen Pineapple Penではなく、Pen Pineapple Apple Penである。それは見ている人の頭に想像させられて、「で?」ってなる。その存在のバカバカしさは面白いと言えるし、なんでPPAPについて歌いながら踊っているのかも全然わからなくて面白い。PPAPというふうに省略したい気持ちも面白いし、最後がPenであるから筆記の機能を諦めてない感じもして面白い。天に掲げるのもよくわからない。
◆ザメキン語録
サイエンスチャンネルで配信されている「ザ・メイキング」という工場見学動画がニコニコで違法アップロードされていて、そこについているコメントが時に面白い。
タイトルに「ホモと観る」が付いているんで、通常の感覚の人はまずその動画を視聴しない。タイトルで視聴者の層にある種のフィルタがかけられている。
動画自体が基本的に興味深いものであるが、ふわふわした意味わからんコメントがたまに流れてきて楽しい。それは例えば「おいしそう」という変哲もないコメントだったりする。
単語として面白くない言葉であっても、状況により面白くなっている。食品工場の回で「おいしそう」というコメントが流れていても違和感はない。だが、鉄筋とか消しゴムの生産過程を紹介する動画で「おいしそう」とかコメントが流れてくるともう笑ってしまう。
空き缶等が押しつぶされるところで「これスッゲェ痛かったゾ~^」とか書かれていたら、お前は何なんだよと感じられて面白い。食品回で原料紹介に「など」が付けられていることに怯えるコメントとかも面白い。これはひとつの動画を見ただけではあまり面白さが感じられないかもしれず、お決まりのパターンを学習していくことで笑えるようになってくるものだろう。
定型文が面白くなる例で顕著なのは「キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲」のチートプレイ動画。
コメントは何も面白くないかもしれないのだが、いろいろな悪魔城ドラキュラTAS動画やらRTA動画を見ることによって頭にパターンが構築されてくると面白くなってくる。面白くないものであっても教育により面白いと思えたりする。逆に言えば、教養が足りてないと面白いと思えるものも少なくなる。
みたいな。
メーデーも面白いが、視聴者が多いので雑なコメントも多い。
◆まーちゃんごめんね
全然面白くないものを面白くないままに真面目にゴリ押しされ続けると笑えて来ることがある。
ママタルトという漫才コンビの大鶴肥満というデブが「まーちゃんごめんね」という言葉を芸人としての自らの決め台詞にしている。その「まーちゃんごめんね」については一般人は合意してないから、面白くない。言われても困惑するばかりで笑ってもらえるはずがない。不快だ。でも、大鶴肥満はまーちゃんごめんねをとても大事にしていて頻繁に言う。頻繁に言うからずっと聴き続けることになるが、不思議と小気味よくなってくる。でも本質的には面白くはないし本を正せば大鶴義丹の発言である。
「まーちゃんごめんね」すら言う意味が分からないのに「まーごめ」と略しはじめたり、「まーちゃんまーちゃん」「ごめんねごめんね」「MG」「Mごめ」「まーG」「まーちゃん大学ごめんね学部」「ちゃんんね」とか変にバリエーションを作っている。稀に「まちゃごめ」とかも言う。意味が分からない。
どういう相槌にでも「まーちゃんごめんね」で済ませようとするのがムカつくし、実際に謝らなければならないところで「まーちゃんごめんね」と言われると「ごめんね」が活きてきて面白い。
前後があるから面白い。振りが効いたら面白い。ヨーギシャーテリアを単に絵描き歌で描いても面白さは高が知れてるけど、次の回でトイレットペーパーにヨーギシャーテリアの絵描き歌を無理やりぶつければそれは相当面白い。たぶん。
◆ジブリのタイトルを置き換えるやつ
使えるタイトルが以下。
- 未来少年コナン
- ルパン三世 カリオストロの城
- 風の谷のナウシカ
- 天空の城ラピュタ
- となりのトトロ
- 火垂るの墓
- 魔女の宅急便
- おもひでぽろぽろ
- 紅の豚
- 海がきこえる
- 平成狸合戦ぽんぽこ
- 耳をすませば
- もののけ姫
- ホーホケキョ となりの山田くん
- 千と千尋の神隠し
- 猫の恩返し
- ハウルの動く城
- ゲド戦記
- 崖の上のポニョ
- 借りぐらしのアリエッティ
- コクリコ坂から
- 風立ちぬ
- かぐや姫の物語
- 思い出のマーニー
第一回大会から優勝作品を並べると以下の通り。
- 耳がきこえる
- 豚トロ
- 天空山田返し
- パンとタマゴですませ
- 山田なりの恩返し
- 山田くんティんぽこからトロトロとエッティなものが
- アリエなィ豚の動き
- 崖ぐらしのハリーポッティー
- ドウテーハ豚かウシですませば
- 平成なまポ合戦こウもと
- 借きんぐらしの猫ひろし
- のろウィルすで便がゲリエッティ
- ココリコ田なかのおティんこホ千ィホ千ィくなィ
第一回の優勝が「耳がきこえる」であって、これは言葉としてなんの面白みもない。でも「耳をすませば」と「海がきこえる」が頭にある状態で読むと急におかしな響きに聞こえてくる。普通過ぎるけど組み合わせが妙であるがゆえに面白い。
ほんで、第六回が「山田くんティんぽこからトロトロとエッティなものが」であり、もう、マジで面白くない。「耳がきこえる」「豚トロ」「天空山田返し」が面白いのは、元のジブリ作品タイトルが分かるから。結果の言葉が単体で面白かったわけじゃない。なんでも組み合わせて言葉つくればいいんならジブリタイトルを使う意味がない。
頭にジブリが残っているひとはジブリで笑わせることができる。相手の思ってることとか見当がつくのなら、それを使って笑わせることができる。
◆結
思ったほどうまくは説明できなかったわ。まーちゃんごめんね。まーちゃんまーちゃん。ごめんねごめんね。まーちゃんG。ちゃんG。Gめんね。GめんGめん。まーちゃんGめん。Gちゃんごめんね。
「Gちゃんごめんね」までやっちゃうとルールっていうか一貫性が崩壊してる感じあるな。違反したらそれはズルいので素直に笑えない。無暗な逸脱は気になるので笑えない。
それはそうと、くりぃむナンタラで「クイズ上田晋也」って企画やってましたね。あれもくりぃむANNを聴きこんだ俺にとってはもう爆裂に面白かった。カカロニに初めて感謝した。でもオールナイトニッポンを聴いてなかったひとにとっては何のこっちゃわからないんだろう。もったいない気持ちがする。でもまぁどうでもいいんでクイズ有田哲平も待ってんぜ。
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