◆前段

一緒に働いている人っているじゃん。その一緒に働いている人については各自それぞれの能力の凹凸があるじゃん。ややこしい仕事を任されて混乱しちゃう人もいる。だから、いま混乱している人につきまして、その混乱を解決してあげる必要がありますじゃん?

俺だって例に漏れず混乱している人を見たときはコミュニケーションによって解決を図るわ。相手の混乱の内容を把握したらそれを解決したい。それはウェットな気持ちとかじゃなくて人心のパズルを解くようなものだ。

混乱ってのは人が混乱するくらいだから五階層ほどの殻を持っていたりもする。いちばん外側の殻から剥いていかなければ混乱それ自体を解決すること叶わず。理解力の高い相手ならフックみたいな曲がった問いを刺して一撃理解させるような芸当もできるんだけど、そこまでの理解力を無暗に求めてはならないでしょう。混乱しやすい人は思い込み強めなので丁寧に剥がしてあげないとダメだし、「自分の前提は正しくて相手が何か誤解している」と考えがちなのでこっちから寄り添ってあげなければならない。

大体、混乱してる人は自分が何に混乱しているかとかって往々にして把握できてない。訊いても何も解決しないような問いをこっちに投げてくることもある。だから適切な順番と適切な速度で適切な問いを辛抱強く耳からトロトロ流し込んでわからせする必要があるんすよ。相手の性格により問い方を変えないといけない状況だってある。相槌すら変わる。

それは、嫌な奴と思われたくないから的な俗な理由ではなく、今発生していない次の混乱を解決するためにそうするんです。個人の気持ちは過去から未来まで連続しているゆえ、「今の混乱を解決するために相手が廃人になるまで早口で詰る」みたいなことすると次の混乱が起こったときに相手はもう廃人。廃人なら火葬すれば済むんでいいけど、生きながら問題を秘匿するように学習しちゃったらそれって宛ら(さながら)地雷製造機っすよ。

正論で相手のプライドを傷つけつつ従わせることなんてまっこと簡単な暴力ぜよ。相手の感情を短絡的に無視して言いたいこと言うなんて一番イージーな爬虫類的コミュニケーションです。無能のすること。脳みそ無くてもカタにハメた会話に持ち込めば論破なんてどういう体勢からでもできる。

混乱人間パズルをどう解けばいいか。それは相手が「自分の理解と気づきにより問題が解決した」と勢いづくような感じにすりゃいいんです。そうならなかったらパズルを解くことに半ば失敗している。相手がモヤっとしたまま終わるんならパズルは壊れている。癇癪を起こして知性を放棄し、知恵の輪を曲げて外したようなもの。そんなんで満足げにしてるのは如何なものか。知性で解決してください。

という話が前段。前段が終わったので伝えたいことを言う。

◆黙ってろ

例えば俺とA君とB君がいて、A君が混乱しているとする。そして俺はそのA君の混乱の解き方に見当がついた。4段階踏めば綺麗に終わるんで、外側から解き始める。

解いている最中、三段階目が終わったくらいでB君が何かに気づいたらしく、口を挟んできて元も子もないようなことを言ったとする。

これがイラつくよねって話をしたかった。

元も子もない話を言って済むんなら俺だって言うとも。元も子もない話の選手権が開催されたら全国大会にシード出場できるほど俺は元も子もない話が瞬時に出てくる。

でもそうじゃないじゃん。おおおおおお俺のパズルじゃん。おおお俺が焼いてた肉じゃん(震え)。俺の解き途中のパズルに手ぇ出していいと思ってるわけ?

人のやってたゲームを取り上げてラスボスだけ倒そうとすんなよ。人が両替しに離れたクレーンゲームに割り込むなよ。いやクレーンゲームは割り込まれても文句言えないけど。

元も子もない話じゃなくても、俺がリズムよく話してたんなら遮ってまで口を挟んでくれるなと思う。俺が質問してるのは、俺が素で疑問に思ってるんじゃなくて相手に混乱を解かせるためにそうしてるんです。問題解決のための良い問いを結論と感情から逆算して出力してるんです。その上で「素で疑問に思っているようにみせるアクティブスキル」を随時発動させて状況を緩和してるんです。この愛しいパズルゲームをエンジョイするために。

掛け違えたボタンなんざ初めっから目視できてる。でもハイスコアを取るためには段階が必要だったりすんのよ。

「あ、そういうことだったんですね。すみませんありがとうございます。」に対して「いや、俺もよくわかってなかったんで(大嘘)話せて良かったです」で俺の人間感情パズルは解けて射精できるんです。だから口を挟まんといてな。頼むな。

◆曖昧な言葉

曖昧な言葉は混乱を増幅させるので黙ってろと思う。言葉はその定義を意識して使ってあげないと認識齟齬が起こる。っていうか言葉が違うなら会話の体を為してないよ。鳴き声だ。

言葉が曖昧な者同士の会話を聞いていると、まぁまぁ怖い体験をすることもできる。互いの人間らしさが突然に失われたようなホラーっぽい瞬間に立ち会えるかもね。「いや今のやりとり会話になってなかったぞお前ら普段の生活でどうやって人と意思疎通してんだ」っつって。

IQが乖離すると会話が通じづらくなるっていう俗説あるけど、無きにしも非ずだと感じる。言葉の認識に差が出ると会話にならないのは当然。だけど、閉じた問いと列挙をベースにしたローラー作戦的な会話に落とし込めばどんなアホでも会話はできるよ。会話がこじれるのは両名ともに頭が悪いからです。どっちかの頭が良かったら会話できます。頭の冷えてる人は喧嘩の状態にならないようにフィールドを制御してるんで、喧嘩が発生してたらそりゃ両方の頭が悪かったと結論付けられる。同じ土俵に乗るのは同じ力量だから。あるいは喧嘩の形にもっていったほうが丸く収まるような焼き畑喧嘩に誘導されたか。

◆黙るな

無限に話せ。疑問がわいたんならどんな初歩的なことでも何人(なんびと)が参加している会議でも即座に訊け。自信なくてもぶっこめ。そして俺に諫められろ。委縮するな。俺をイラつかせろ。口を挟め。やりこめろ。かかってきやがれ。うおおー。

黙ってたのに後からグチグチ言うのが一番よくない。参加したんならその場で言いなさいな。逆に開催する側は何でも訊ける言える会議として建て付けなさい。

◆結

口を挟んでおきながら本当に何の材料にもならない情報を長々と言うだけ言ってくる輩もいるし。なんなんだあれ。どういう効果を見込んで口を開いたんだ。発作か?

頭使って話そうな。みんなな。うん。じゃあな。

「天使にラブソングを」のカバーを貼ろうと思ったんだけど公式が無かったんで原曲。