◆なにそれ
映画。アニメ映画。
◆面白かった?
なしよりのあり。
なんで観に行くハナシになったのかって、それはネット上での評判がめちゃくちゃに良かったからです。でも、結果的にそんないいものではなかった。もうネット上の絶賛をあてにして映画を観に行くことはない。テメーらは俺の信頼を裏切りおった。Twitter民の感性はやっぱりボロボロボロネーゼだ。
とはいえ、そんなに悪いものでもない。面白くある。しかし絶賛するほどのもんでもない。手放しに視聴を推薦することはできない。泣けそうと思いきや泣けなかったなぁ。
竜とそばかすの姫とかいうアメイジング・ファッキン・クソムービーよりはだいぶマシ。ちゃんとやってた。
◆換装した管槍
ネタバレは多分ない。いや、ちょっとあるかも?
▼世界設定に対するつっこみ集
ある程度ファンタジーとして表現しちゃえば良かったんだと思った。技術をオタク語りするキャラがいたもんだから、つっこまざるを得ない。
- テクノロジーの進化がアンバランス。なんで(優先度が低い)ヒューマノイドロボット技術だけあんなに極まったんですかね?その理由をモノローグででもタッチしとけばその後の納得感が数段増したと思う。
- 学校にテストに出す前の社内検証が杜撰すぎでは?詩音の腕っぷしには物理的にリミットがかかってないように見受けられたし、判断基準もイカれてる。悪くすれば死人が出たほど危険だ。
- 機器のネットワークセキュリティがガッバガバ。衛星のセキュリティすらガバガバ。あの世界(特区?)はわりと簡単に壊せると思う。
- あのすっげぇ発光する飛び散る電飾はなに?どっからきたの?
- なんで詩音に緊急停止が効くのかわからん。スタンドアロンって言ってたじゃん。スマホアプリからは停止できんだろ。校内のIoT機器を無線操作してたのも謎。
- 詩音の記憶はどこに保存されているわけ?ネットワーク上にある?
- 詩音の電源残量が少なくなると、疲れた感じになるのはなんで?
- ラストのあの可視なるごんぶとビームはなんだ。アホか。
- 衛星(めちゃんこ軽量に作るもの)に積んでるコンピューティングリソースでAI運用してんのか?地上のネットワークで計算している?じゃあ衛星に飛ばした意味は?いや、ものすごい記憶素子とか漁師コンピューターとか猟師コンピューターとか開発されつくされた未来の話なのかな。それにしても衛星に飛ばす意味は?
▼不要な設定は削っとけ
「AI搭載ロボであるという事実が学校にバレてはいけない」って設定、要る?活かせてなかったので全然いらないと思います。活かそうとして一悶着起こしてたけど、その悶着がわりかしどうでもいいものだったわ。この映画の最終的な面白さに影響してない。ロボであることは公開しちゃって通しつつ、ほかのことに描画リソース使ったほうがよかったんじゃないの。ロボですって宣言できていたら急に歌うことも織り込んで学校にテストに出せたのでは。
具体的にはムーンプリンセスの説明っていうかハマりどころの話がもっと欲しかった。ムーンプリンセスについてもうちょい教えてくれないかってずっと思いながら観ていた。ピンとこないまま終わった。
▼ミュージカル
毎度思うんだけど、ミュージカルやりてぇんなら今あるミュージカル映画を観たほうがいいと思う。日常の場面から「急に歌うよ~」への繋ぎを研究しろよ。特に初回は限界までスムーズにしなきゃ違和感だわ。
あとあとで違和感が発生した理由もちゃんと語られるんだけど、そんなん初見じゃわからんし、俺の気持ちが離れた。もうちょい盛り込み方を工夫してくれ。走り出しでコケられると熱が冷める。
あとあれ歌詞をどうにかしろって。英語を無理に和訳した風になってて嫌でした。
組み手のところはよかった。あそこが一番理解できた。
▼描写したいシーン
絵もカメラもとても丁寧で綺麗だから、シーンごとに感動することは可能。でも、シーンとシーンを繋ぐための必然が足りてない。カタルシスが抜け落ちる。
いや、カタルシスはあった。でも長尺でコスられたんでそれは後追いで台無しだった。もういいよと感じた。同じ感動要素を繰り返してはいけない。
いい設定(意外性のある設定)を持ってたしアニメーションの技術もあったわけだが、シーンとシーン、要素と要素のつなぎが雑。繋がってはいたので良かったけど整理整頓ができてない。
逆に言えば、無理な設定であっても説明不足であってもブチブチであっても脚本力で説得しきることだってできよう。
▼テーマどこ?
テーマは実際のところなくていいんだけど、一本筋が通ってない。それらしいキーワードをキメ顔で印象深く言ったんだったら、それは綺麗に回収せねばならんでしょ。
…いや、なんか違うな。
物語の転換点がごちゃっとしたのが気に食わなかったのかもしれない。あるイベントを起点として世界の見え方を一変させていればもっと感動できたと思う。その起点が複数あったように思えてよくわからなかった。とても大事なことを重大に描写してたけど、そのあとはサラッと流しちゃってたよね。詩音の自己犠牲が最後までプログラムっぽくて、意思みたいなのが薄かった。それはそれでいいのかな。
▼青春を映画にするべきではないと思います
ここんとこずっと、友達いなさそうなやつが青春モノのアニメつくってるよな。だから出てくるものがファンタジー友情で、ファンタジー青春だったりしている。マジにある友人関係や人間関係から要素を掻い摘んで表現しときゃいいのに、そういう原体験とかなさそうで。
恋愛の描写は(こういうアニメでは珍しく)あんなもんだろうと思えた。
▼無法
メガソーラーで歌い切った後に捕縛されてるとこ、シリアスなシーンだったのかもしれないけど笑いそうになったわ。「そうりゃそうだ」って思いつつも「捕まるんかーい」って。
反社会的行為しても別にいいんだけど、もうちょいちゃんと裁かれておいたほうがいいと思う。母親が幼稚だったんで不安だ。
◆癖がない
これに限らず、もっと無茶なアニメーション作っていいんじゃねぇの。リアリティを変なところで重視したり、かつてのアニメーションに倣うようなことをしているように思える。描けばそれがスクリーンに映し出されるというのに、常識に縛られているように感じられた。
具体的に思ったのは、画面に歌詞を出しちゃっても良かったんじゃねぇかなとか。説明できるんであれば何をやってもいいんじゃない?もっと自由な発想で考えてみてください。期待しています。
◆結
そんなもんで、てざわりザラザラしてたけど面白かったよ。
アニメ映画を劇場で見るたびに宮崎駿と今敏はすげぇと思う。あとオトナ帝国はとにかくすごい。キャラクターがオリジナルじゃないから俺からして比較しづらいけど。
映画の価値って…いやゲームとかにも言えるんだけど、画面上の美しさにその本質はないと思う。ある程度でいいんじゃないのか。画面が綺麗であってもストーリーが楽しくなければ「どこに力入れてんだ」って思ってしまう。
そういや、電脳コイルのひとがアニメ作ってたね。どうなることやら。
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