「モノの豊かさは本当の豊かさじゃないのだよ嬢ちゃん」というのは良く言われる話で、それを理解した上で所有しすぎているのが俺です。

所有するとスペースがなくなるし、管理にお金がかかるし、価値の高いものだと神経を使うことになるし。なかなか気苦労が多いものだ。

所有できるものはモノだけじゃ無くて、人間関係も繋ぎ過ぎると結構大変だし、スマホゲーも並行し過ぎてわけわかんなくなったり。

例えば共産圏では人民に所有する権利はなく、すべてが公共物として扱われる。

嫌です。俺の大事なミソ付きパンツを隣の家のオヤジが履いたりするわけでしょ?(認識齟齬)

◆サービスの所有

ある会社がサービスを持つことがある。それも一つの所有ですよね。例えばYahoo!がヤフオクを持っていたり、メルカリがメルペイを持っていたり。

それで金を稼いでいるわけだから当たり前。むしろサービスが存在理由みたいなものだろう。

だけどサービスの運営が辛そう。自社サービスって以下の感じだろ。

  • 壊れた時に怒られる
  • 苦情を自分たちで処理しないといけない
  • 他の人を頼れない
  • ユーザーがやらかしたりして怒られる
  • 飽きた時に手放せない
  • 飽きられた時に金のかかるゴミと化す

◆OSS

OSS(オープンソースソフトウェア)っていう種類のプログラムがある。

かなり昔からある考え方なんだけど、それは「開発したプログラムの内容を全て公開してしまう」っていう開発方針を意味する。プログラムが公開状態、つまりソースがオープンだからオープンソース。

公開されているから、誰でも無料で使うことが出来る。

プログラマーがソースを公開してしまう理由はなんだろうか?秘密にすれば「買いたい」って人がお金を払ってくれるかもしれないのに。

◆世界をどうしたいのか

ソースを公開する理由はいろいろある。「褒められたいから」とかがパッと思い浮かぶな。あとは、公開されているから利用者が多い。利用者がバグを見つけて報告し、別のハッカーが修正パッチを送ってきたりする。便利機能を追加したパッチを付けてくれたりする。そもそも自分が使うために開発したプログラムであるから、もっと便利になれば嬉しい。ありがたい話だ。

俺がOSSに思う事を極限に絞ると「正しい」の一言に尽きる。

「便利なもの、良いもの、減らないもの」があったとして、それをどうするだろうか。普通分け与えるんじゃないか?OSSはそれを実践しているんで、正しいと感じる。

そして、カネにならないっていうのに世界中の何万人もの開発者が「直したよ!」「作ったよ!」と言いながら働きを流し込み続ける。

どこに流し込んでいるか。それは世界に対してだ。世界が所有する公共物がOSSである。社会に属する人間ほぼすべてがOSSの恩恵を受けている。OSSが何万人の命を救ったかわからない。世界をどれほど回転させたかわからない。ただ、道具であるから、そりゃ使い方を誤れば世界を不幸にすることもあるだろう。

そして、OSSは誰にも所有されない。でも誰もが所有することが出来る。誰もが参加できる。能力を発揮できる。何より、優れたシステムは世界を前進させるものだ。優れていないOSSはただ単に消滅し、より良いものが採用され、発展する。

所有されるサービスはそうもいかない。「作ってみたけど」とか言っていられない。利益を出すために何だかんだ電通とか使って宣伝を掛けたりしなければいけない。利用者の事を想ったシステムにならないことも多い。OSSの動機はまず「自分が使うから」なんだけど、そうじゃない。最後には利益を出さなければならんのが「所有されるサービス」なのだ。

◆オープンソースサービス

造語なんだけど、今後早いうちに出てくるだろうな。そして既存の「利益を得るためのサービス」は徐々に駆逐されていく。駆逐は既にアプリケーション単位で発生していた。サービス単位でもそうなる。だってOSSは正しいんだもん。世界がそうなるに決まっている。

会社がサービスを抱えながら世界のスピードに追い付くってのは、無理だ。会社に1万人くらい人がいればいいかも知れんが、無理で。より良いものが生まれて駆逐されるのが常で。

だけど、オープンソースサービスの基盤さえあれば、その上でサービスが生まれても、消えても、その基盤は生き続ける。ユーザーのための、世界のためのサービスを提供し続けることができる。

例えば、クックパッドが、ぐるなびが、ホテルズドットコムが、30年後に存在しているだろうか?「存在していますね!」と言い切ることが出来る人はいないだろう。会社が存在していないなんてこともあり得る。今までいっぱい見てきただろうけど、組織っていうのは淀みが発生して腐っていくものだ。「やりたかったこと」っていうのはどんどんズレて噛み合わなくなっていく。

でもOSSは人類とコンピュータがある限り滅びることはない。クソは単純に廃棄される。クソの廃棄には時間がかかるものだが、OSSはそのサイクルがかなり早い。

銀行すらいずれオープンソースサービスになるだろう。AIとユーザー自身が資産管理をする、上位の人間が無駄に利益を享受しない銀行。誰のためでもない、人類のための銀行だ。既存の銀行はすべて取り残される。いずれな。何年後になるかは知らんが。

ゲームもオープンソースになるだろね。オープンソースのカーネルがあるくらいだし、ソシャゲなんか自分らで作っちまえばいいんだよ。

サービスを公開し、全人類でもって利用、開発する。欲望、所有、隠蔽が絡みづらいサービス。それが欲しい。

あるサービス使ってても、その内部は隠蔽されていて、何が起きているかなんてわからない。苦情を言ってもそれが届いているのかどうかなんてわからない。例えばLINEが嫌いでも、愚痴を言いながらLINEを使い続けることしかできない。

それが嫌ですよねって。

あとはライブOSSコーディング。ハッカーって大抵ジョーク好きだし、人と話すのが得意な人ばっかだ。既にライブコーディングをやっている人も多少いるけど、もっと増えるだろね。DiscordTwitchもあるんだから。最近じゃVisual Studio Live Shareっつーので、同じコードベースを複数人で一緒に編集できるやーつもあるんだぜ?

◆だれごと

サービスが「自分事」になるまでは期間を要する。でもOSSは発生した瞬間自分事だ。少なくとも開発者にとっては。なぜなら、能動的に関わることができるから。関われないならそれはOSSじゃない。普通のサービスは、広告なり人づてなりでサービス側から関わってくるまではなるべく触りたくないものだ。

◆OSS水平思考

技術系じゃない人に説明すると、プログラムのコードっていうのはある種の文章で構成されます。その文章はコンピューターが理解できるように加工されて、ソフトウェアになる。(ハードウェアにもなったりするけど。)

(さっきも言ったけど、)OSSはコードが公開されていて、誰しもがそれを見ることができる。そして修正とか機能追加とかを「差分」として簡単に送り付けることができる。

この仕組みは、プログラミングだけに生かせるものではない。

例えば、翻訳。著作権の切れた英語の本を日本語に翻訳したり、あるいはその逆。英語の翻訳を公開して、修正案を募ることができるだろう。そして、誰しもがアクセスすることができる。誰しも出版することができる。出版の仕組みすらいずれOSSになるのかもしれない。

また、論文。論文を自由に公開したり、誰かの論文に簡単にアクセスできれば幸せだろう。さらに言えば、論文の日本語訳、英語訳もインターネット上で可能じゃないか?

そして音楽。楽譜。物理世界でやろうとすると権利関係とかクソ面倒だけど、インターネット上でならもっと賢いやり取りができるだろう。

とにかく平文にシリアライズできれば(人間が読める文字で構成されていたら)それはオープンソース化の対象なのだ。

◆企業よ

システム系企業じゃなくて、一般の企業ね。

企業ってスポーツ選手とかを雇ったりするじゃん。近頃だとeスポーツっつってゲーマーを雇ったりしますね。

それはそれでいいんだけど、OSS開発者を雇いなよ。

OSSのコミッタは、正しさで世界を推し進める人間だ。でもOSS開発者にお金を支払う仕組みはまだ整備されていなくて、食い扶持に困っている人も結構いる。というか、OSS開発者が金を稼ごうとしてしまう。生きるためにはしょうがないんだけど、なんというか、汚染だ。金の事を考えずにめいっぱい笑って開発できる状況を提供して頂きたいんですよね。

「俺みたいに困っている誰かが助かればいいなー」っていうのをサラッと実践できるのがOSSだ。それが報われないのは悲しい。お金の心配をさせてしまうのは悲しい。

広告にもなるよ。メーリスでもGitHub(世界最大のOSSプラットフォーム)でも会社の所属を含めることが出来るし、日本じゃまず誰もやっていない取り組みだから、広報すれば取材もすぐに来るだろう。

◆開発者よ

伽藍とバザールは教養として読んでほしい。何か知らんが読んでない人が多すぎる。

Fetchmailの最終リリース日は2019/9/28だ(2019/11/2時点)。それまでにいくつの商用ソフトウェアが死んでいったんだよ。

あと、インターネットをもっと真剣に考えろ。例えばね?やきうが幾ら上手であっても、足がいくら速くても、病気や殺人やイジメやセクハラや虐待や貧困や無学を止めることはできない。でもインターネットが加速しまくれば、絶望の中で苦しんでいる人を助けることが出来る。ひとりじゃどうにもならなくて泣いている誰かに、手を差し伸べることが出来る。人類を苦しめる敵をふんじばってブチ殺して、いつの日か忘れることが出来る。

◆関係ない人よ

世界の流れは悲しいほど速いから、自分のやってる仕事が五年後に残っているかどうかは考えたほうがいいかも。車が登場したせいで無職になった人とか、電車が登場したせいで無職になった人とか、携帯電話が登場したせいで無職になった人がいる。

あるテクノロジーは、発生したのち数年で大量の人間の雇用を奪う。世界規模での”善意の”サービス開発が回転するようになったら、ある種の連鎖が発生するだろう。悲劇すら起きる。

◆おわり

OSSっつー世界があるんすよ。その思想を知らないでいてくれるなよ。

という上記説明を会社の人らにしなければならないのだが、どうすりゃいいんだ?時間さえもらえればいいんだけど、これ入れ込むのって結構時間かかるぞ。60分コースだ。