• ある一団が無人島で遭難した
  • そのなかにタロウ君という人物がいる

ここから発生する面倒ごとについて。

◆勘案事項

タロウ君のステータス。

  • 賢さ
  • 熱心さ
  • 偉さ

今後、タロウ君は賢くないものとする
※「賢い」という言葉の定義がお前の思っているそれとは違うかもしれない。
※あと、最後まで読まないと言いたいことが伝わらないかもしれない。

◆熱心じゃない

タロウ君が熱心じゃなかったとき。

偉くて熱心じゃないタロウ君は、扱いが面倒。

偉い故に決定権がタロウ君にある。そして賢くないので働かない。賢ければ、働かなくて済むように働く。タロウ君は働かない。

でも働かせないと「あいつなんでタダ飯食ってんの?」っていって不平が上がってくるから、何らかの仕事を任せないといけない。

無人島で生き延びるためには、作業が必要になる。タロウ君は賢くないから、精密さが求められる作業を割り当てることは出来ない。地味な作業しか割り当てることができない。

あるいは無意味な作業。穴を掘って、穴を埋めさせる作業。石を積んでは崩す作業。それに意味があるものだと言ってお願いすることになる。

そして、熱心じゃないタロウくんは無意味な作業を好む。サボってもバレない作業を好む。

自分から無意味な作業をやり、「俺の作業には意味があるんだ」と自分に言い聞かせているようなのもいる。

逆に、偉くないタロウ君には重労働を。泥臭い、サボることの出来ない作業を任せなければいけない。誰もタロウ君をイジメたいわけではない。重く単調な作業だが、任せたくて任せているわけではない。そういう作業しか割り当てることができないのだ。

タロウ君が賢ければ、あるいはタロウ君になんらかの技術があれば、別の作業を割り当てることに誰も異存はない。でも熱心じゃないし何にも興味を持たないのがタロウ君であるわけだから、技術の習得は難しい。

タロウ君が間違わないように、全て手順を作ったとする。タロウ君がやらかすリスクは低減されるが、丁寧に手順を説明するのもコストだ。そしてタロウ君は手順を逸脱したりする。料理下手な人がレシピに妙なアレンジを加えたりするあれだ。良かれと思って意味不明なことをする。相談なしに。つらい。

間違って、そこから成長してくれるんならいい。でも成長しないんだからなかなかどうにも。やりようを工夫せねばなるまい。

んで、俺みたいな愚者であっても「技術に興味を持つ性質」を偶然持っていたんならそれなりの仕事にありつくこともできる。賢くないのなら技術を伸ばさないといけない。

◆熱心で偉くないタロウ君

いくらでも働く。色んな作業をしようとする。だけど成果はグダグダだ。例えば食えない量の果物を採ってきて腐らせたりする。「釣り竿20本つくった」っつって、しならせた瞬間へし折れる釣り竿持ってくるかもしれない。

有限なコストを食いつぶしてゴミを持ってくる可能性が高い。

だから、コントロールしなければいけない。やはり間違いが起きづらい重労働を任せなければならん。熱心であるから、見張り番みたいなことを任せてもいい。さもないと「熱心で愚かな労働」による被害が拡大する。

◆仕事の消失

たとえば「効率的なやり方」を突き詰めていくと、つまり仕事が減る。無人島で見回りドローンが開発されたら、見張りは不要になる。単純作業から順に人手は不要になっていく。

だけど無人島の食料は有限だ。無駄に働かせるわけにもいかない。食料が限界まで減ったそのとき、最初にクビになるのは偉くないタロウ君だ。

それは辛いことだ。無能から順にクビになる。でも辛いからって言って「くじびきでクビになるやつ決めようぜ!」っていって有能がクビになったら、一団は滅ぶ。一体全体どうしろと。

たとえば潤沢な食糧があればタロウ君に無意味な作業をさせておけばいい。タロウ君をクビにする必要はない。

◆タロウ君が偉くて、熱心だった場合

これはもう終わりだろう。タロウ君を早いところ砂浜に埋めるしかない。

タロウ君が偉いと、まず彼は間違いを認められなくなる。人は誰しも間違いを起こすものだ。それを前提にして、なるべく間違わないように皆で考えて行動をしなければならない。

だが、偉いタロウ君は賢くないがゆえに独善的だ。賢くない人間は、他人よりも自分が賢いと理由なく確信している。だから、作業をしろと命令するが、その作業は無意味だったりする。

また、改良を拒む。「このままだと効率が悪すぎるから、変えよう」という提案を受け付けない。効率を良くしなければならない理由を理解できない。賢くないから。「いままで大丈夫だっただろ」という意味不明な理由で改善を拒む。

食料がないんなら埋めるしかない。食料があるんなら、タロウ君を騙しきることだ。人心を操ることに長けた人間が口八丁手八丁で煽てながら思考を誘導することだ。っていってもそれもやはりコストだからなぁ。

◆タロウ君、議論に勝てない問題

タロウ君は賢くないから、言ってること、やってることがおかしい。しかも相談しない。

だから、「おかしいだろ」と突っ込みを食らう。でもタロウ君は賢くないから自分の間違いを認めることができない。逆に、賢人がいたら賢人の言っていることは大抵正しいのだから、言い争いになったらタロウ君に勝つ余地はない。

タロウ君は「毎回言いくるめられてる」「あいつは口がうまい」と感じるのかもしれないが、タロウ君は考え方からしておかしいのだ。だから勝ち目なんて最初からない。

そも、誰も言い争いをしようとは思っていない。(無意識的に)バトルを仕掛けているのはタロウ君なんだけど、言い合ってもそもそもタロウ君は根底から間違ってるから勝利することはできない。タロウ君は自ら争いを生む。が、争いに勝てない。フラストレーションが溜まるだろう。

これは、どうすりゃいいんだ?

「お前ちょっとアタマおかしいよ」と言ってしまっていいのか?ダメだろ?タロウ君が自らの賢くなさを自覚しない限り、無限にイライラを生成し続ける永久機関と化す。

◆働かなくていい未来

だから、働かなくてもいい世界が来ないかなと。

無人島の話は終わり。

タロウ君に働いてもらうべきだろうか?働かないほうがいいんじゃないか。誰も幸せにならないのだから。タロウ君が悪いと言ってるんじゃないよ。「働くべきだ」「働けない人間は悪だ」という固まった価値観を一旦どっかその辺に捨てろ。

働く能力が無かったんだとしても、絵を描く能力があるかもしれない。歌を歌う能力があるかもしれない。音楽を作る能力があるかもしれない。盲導犬を育てる能力があるかもしれない。文章を書く能力があるかもしれない。植物を育てる能力があるかもしれない。

そうだろ?

ベーシックインカム(働かなくても一定の金を国から貰える仕組み)が必要になるんじゃないかと思った。色々反対意見もあるんだけどね。

働く能力のない人を働かせてどうなる。働く能力を得てから働けばいいだろ。だから、大学かどっかにやって「興味を持てること」をまず見つけるのが良いんじゃないだろうか。

というか、一旦社会に出ないと、自分が興味を持てることもわからんと思う。高校出て就職して学費稼いで大学行くみたいなルートがあっても良いんじゃないかなぁ。タロウ君って良く分からんまま大学選んで良く分からんまま卒業して良く分からん企業に就職して良く分からん仕事しちゃってんじゃん。

奨学金どうすんのって。

それは辛いことだよな。

◆結論

まぁベーシックインカムなんて障壁だらけだから暫く無理よ。大人しく働け。