俺はただのサラリーマンだから以下のネタ評に公共的価値などない。

今年のオープニングアクトは去年よりも臭みが多少調整されていた。世間の評判が良かったから今年は力入れたんかな。

去年のやつ

◆余談:出会い頭-1GP

【お笑いの日】出会い頭-1グランプリ! | TVer

ようやっとる。全てが予想外だった。どこまで想定してたんだ?何が起きようとも笑わせれば文句ねぇだろという潔さがある。ラヴィットでやっていたそれを完全に放棄し、一番誰もどうにもならない形で実行したのは称賛に値する。ガヤ入れ放題だったのも良い。

ボケが変なことをしてツッコミが困るという原初の、神髄の構造がテレビで実行されているのを俺は目撃したわ。ボケ芸人たちも期待にほぼ完璧に応えきったし素晴らしい。もうツッコミ対応力-1 GPと化していたけどツッコミ芸人たちもなんだかんだ後の展開まで含めて対応した。特に津田の「金八やないかい!もうええわ!」が異常な丸めこみで笑わざるを得なかった。村上ショージにフジモンを合わせたのも見る目がある。順番はランダムではなく決められていたんだろう。だってフジモンか銀シャリ橋本くらいしか引き出しきれない。チャキチャキでやることにしたフジモンは流石。技量あるんだから下らん不祥事起こすな。

マヂラブ村上は初めに置くんでなく、後にしてあげたら彼は理解してもっと切り替えて対応してくれたはずではある。器用だから。盛山か井口を一番初めにするか、あるいはおいでやす小田とかの喉の強いツッコミにするべきだった。ボケのほうは天竺鼠川原とか見たかったかもな。

最終的にはああいう暖まり方になっていたから太田を出すのも正しい判断で、でも難しい判断だ。面白いこともつまらないこともなんでもやってくれるわけだから怒りモードに入っている会場にぶち込んだら盛り上がる。今まで見た太田の暴れで一番面白かったしコバもイキイキしていた。そしてあの展開でオンタイムに収めたのは作家の読みが極端に鋭い。プロの手腕。下手したら他のボケ芸人が乱入してスケジュールが破綻していただろう。

芸人に対するカメラの画角の取り方も合わせてきていて偉かった。ラヴィットスタッフだろうか。いいもん見せてもらいました。知らないお笑いを見せてもらいました。狂気の沙汰ほどなんとやら。

◆1stステージ

・ロングコートダディ

コントかよってツッコんじゃうような良いコント。キツいことに逃げずに「とりあえずなんか…これは違いますね…」という、ギリ失礼でもない何でもないセリフだけで拍手笑いを起こせているのは非常にテクい。どんどん不和を起こして最後に展開を作ったのは正しくて面白いが、オチのセリフだけ陳腐なので変えていただきたい。あのキャラにもっと適合する言葉がある。

審査としてはちょっと高すぎたのかも。

・ダンビラムーチョ

声が出ていて、こなれ方がリアルで双方に演技力がある。設定の聞かせ方も無理がない。ツッコミの声量も内容もサイズが丁度よく、理解する時間を待ってから差し込めているので聞いていて心地が良い。イントネーションやら身なりやら目線やら細部もシッカリ抑えてるし完成度が高いじゃないか。即座に三発打って笑わせ、四発目も特に引き延ばさず打ち切る判断力がある。判断力があるっていうか、この設定でやりたい仕掛けが次から次へと湧いてきたんだろうと見受けられる。伝承を語るところで手が足りず口を隠しながらも話すところとか、りんご飴入れちゃうところとか、PS2で再生してるところとか目の付け所にもいちいち独自のセンスがあってお笑いIQが高いわ。マトモをやってたほうが終盤でブチ暴れるのも展開としてうまくストレスを発散させられていて良い。漫才とかうまカッパからは考えられねぇクオリティ。

「太鼓大好きなんだよなぁ~!」も謎に面白く、最後に太鼓を叩きまくっちゃう展開にも繋がっている。このコントの途中からやっぱりトップバッターに得点を入れすぎてると俺も確信した。これロングコートダディより面白いぞ。

そして毎年言ってるけど飯塚の採点はおかしい。いや採点は好きにすりゃいいけど言ってることがおかしい。五発目から叩きまくったとことか熱は十分にあった。飯塚お前船降りろ。

・シティホテル三号室

途中から始めて時短しているのが偉いし裏切り方が予想だにしない感じで面白い。けども、それ以降の角度が浅い。盛り上がりにしようとしているけど笑いの種類として単調。ツッコミが常に大きめでメリハリも効いてないので繰り返しに見えなくもない。これこそ言わばディティールが足りていないと言える。ハンディクリーナーのとこで「そうはならない」と感じ、俺は冷静になってしまった。揉み合いの見せ方が詰め切れていない。

全体的に言動をシミュレーションしきれていない。例えば、ひとつめのCMに入った後で台本を出すのは行動として変だよ。「一応こんな感じで大丈夫でした?」という言葉も変。全部を一旦客観的に見直してくれ。あるいはその細かいところをやりたくないなら少しファンタジー寄りのネタにするべき。

飯塚の採点はおかしいって。終わり方は確かに良かったが、このコントこそネタバラしの盛り上がりがピークであとの面白さが上回ってこなかっただろう。そして面白さに繋がっていない部分に着目して高得点をつけている。好みで採点していると言い切ってくれればいいんだけどそうせず、そして言ってることに一貫性がない。発言がブレている。山内の「理由がありすぎてる」っていうのは納得で、言われてみれば確かにフォローしすぎてたように見えたな。

・や団

初めの会話に意味がないわりに意味深で見づらい。釘で指を切るくだりでも正義感が強いとはあまり思えず、見づらい。テーブルに置いてある釘で指を切るというのが無理あって違和感あるし、吸うのも違和感ある。だからコントの流れに入りにくい。実は吸血鬼だったみたいな展開が頭を過らないか?俺だけか?子供の描いたという絵が大人の描いた絵なのも気になるし、額に入れてある点に言及してあげたほうが見易い。

ツッコミのサイズが大きすぎるし拾いすぎているし用意されすぎていて「まず中島にあやまれ!」「中島今日誕生日だぞ!」「なんで入れてたの!?」が最大なら面白いところ、前のツッコミから大きく長くやっちゃってるからもったいない。ツッコミの性質に合わせたコントにするか、コントの内容にツッコミをアジャストするか選べ。オチも弱い。弱いっていうか発言が間違ってる。シティホテル三号室と同じく、単に規模だけエスカレートさせれば面白くなると考えてるのは甘い。メリハリとか緩急とか見せつけろ。

・コットン

始まり方が唐突。きょんは板付きじゃなくて外から歩いてきて座ったほうが良いのでは。ほんでツッコミのセリフは概ね間違ってるしタイミングも走りすぎてる。通るだけの言葉を雰囲気で選んじゃいかんっすよ。

人形劇の内容自体が単に恋愛ドラマなだけで内容に何一つ面白みが含まれていないのが痛恨の極み。もしそうしたいならツッコミの言葉や間を高い精度で磨ききらねば見ていられない。きょんはツッコミが強くないから向いてない。きょんというコントに有利な個性をずっと前から活かせていない。きょんとは何かって理解できてない。

ACがドラマに入ってくるのもわからんし、CMのくだり自体そもそも削ったほうがマシなくらいつまらない。客に純粋な違和感だけを与えてしまっている。オチは作れていたけど個人的にはぬいぐるみをゴミ箱に入れて欲しくない。

これを王道設定って言ってる飯塚もいよいよよくわからん。ほんとにこの設定って王道なのか?俺が知らないだけ?クレしんのリアルおままごとくらいしか連想できない。

・ニッポンの社長

ツッコミにディレイをかけてぶん殴るのは見え透いてるけど笑わざるを得ないです。殴るんだろうなぁ…と予想付いていても、殴った時の嬉しさが特に減らない。そしてぶん殴られた後直立してすぐに帽子とるのが面白い。ファンタジーと現実の中間みたいな独自の良さがある。

声小さくても良いって認めるのも切り替えとして丁度いいけど、中だるみはしてた。「無理すな」はシンプルぶん殴りじゃなくて違った叩き方にしてよかっただろうし、全体的に殴り方が一本調子で監督の心の揺れみたいなのが後半でしか見られなかったのが伸びしろ。

畳みかけで馬に乗ってたのは良かったけど、闇落ちしたってのは理解しづらいい。ただただ面白かったんだけど、勝ち上がるんならテクも必要になってくるんじゃねぇの?

バットの本数に予備がなかったのは、どういう作戦でやってたんだろう。

・ファイヤーサンダー

「警察に来てもらえますか」っていう雑な物言いで俺は少し心が離れかけてたんだが、そのあとに裏切られて納得しました。サッカーのネタもそうだけど設定が突拍子もなくて良い。それにしても「署までご同行願えますか」で言葉としては問題ないと思うけど。

写真にツッコませるまでの流れとかも分かりやすく笑えるし所作とか顔とか声色も、オーバー気味だけどこのコントについては丁度見やすい。能力が段々と伸びていくところがハマってるしオチも決まってるぜ。

・cacao

とてもいい設定だけど、最初のひとボケの爆発力が他と比べたらミリ弱いかも。待たせた割に弱い。そして、バッティングの練習をまだやってないのにいきなりMAXで出来てしまうのは気になる。あとあと同じ動作をし続けるくらいならもうひとつ、欲張ってふたつくらい仕掛け入れてもいいはず。入れたほうが収まりがいいはず。

部屋錬に監督が参加してた描写がなかったのに対応できてるのも謎だし。とはいえ面白いので笑える。微笑ましくて見ていられるけど、何が面白かったかと問われると仕掛けの数が少ないし強くもないんで加点が難しい。

練習量は凄い。偉い。

・隣人

遅いよ。何分のネタに何個の笑いを入れられた認識だ。トロくせぇことすんな。ほんで溜めたほどの面白さを実現できてないじゃない。

スーッと歩いてくるところが一番面白いけども、それは他のコントの一発目の大きいボケくらいでしかなく、見るべき点もそれくらいでオチも弱し。面白さのあまり長続きしない珍奇さを軸にやってしまっている。気のせいレベルの面白さを信じてしまってないか?真顔で観ていられる。「乗るでー」とかが関西のコントの良くない感じ。

・ラブレターズ

嬉しいのか何なのか、どういう感情かちょっとわかんなかった。それはテンションの上がり方が正しくないから。ステップがないので置いていかれるし、追いつけないまま終わった。初期設定の説明が足りてないんじゃねぇのかな。

言ってることも変だ。靴の底に泥が付いてるかどうか確認しようと思うことも思考を口に出すことも状況からして違和感あるし、それを待て待てって言って止めるのも意味が分からない。脚本家の頭が悪い。

勢いだけでどうにかしようとしているのが透けて見えて、更に言えば根本的に面白くない。部屋にドングリの袋があったってくだりの経緯もYouTuberやってたってのも企画の内容も、仕掛けがコントとしてどう考えても全然面白くない。言い換えると、面白くなっていて然るべき余地が面白くなってない。真顔で観ていられる。笑いの量より拍手の量が多いしコントならぬ大道芸だこれは。笑えなくてもいいけど、雑なミスが多すぎて共感できないから心も特に動かない。笑ってた人はどういう意味を受け取って笑ってたんだ?大声に反応して笑った?

オチも面白くない。面白くないっていうか、何がどうなると思ったんだ。

そして飯塚。どんぐりとかその袋をぶちまけてたのに何でニッ社にしたような減点をしないのだ?筋が通ってないよ。

◆2ndステージ

・ラブレターズ②

思ったんだけど素のキャラが凡なのかも。変を後乗せしてる感じがバレちゃってるかも。変になりたいという願望を見せられてる感じする。

坊主であることにそんなボリュームでビビるのがよくわからんし「日本語上手ですね」のとこも共感し難い。それをそんなボリュームでツッコまれてもピンとくるはずないし引いちゃうわ。「ジュビロ磐田の熱狂的なファンなの」も、面白ポイントであるかのように配置してるけどハマらんって。ジュビロ磐田を知らない人からして返しがああいうWhat’sなワケないし。スタジアム出禁になる意味も説明ついてないし、話しかけるべきじゃなかったってセリフもよくわからんし。よくわからない共感できないことばかりずっと大声で喋っている。どういう話なのかわからない。変であれば全て面白いなんてことは無いよ。

両人がおかしいというコントではあるけど、それについて別に必然性があるということでもなく、ただただ見づらいしそれぞれの魅力を見せ切れていない。ボケの内容がつまらない。それをツッコミのつまらなさでブーストしている。帰れ。

・ロングコートダディ②

発想が大分面白いけどギャグマンガ日和感ある。そしてセットがすげぇな。顔と手の色は分かりやすくしたほうが良さそうではある。

ファンタジーの設定であるけど、日常的なコミュニケーション齟齬のもどかしさと意図が通じる嬉しさからくる面白さを表現しており、共感に特化している。だから見ているだけで笑える。シンプルで強いネタだ。オチも切なくて面白い。「ノタ」じゃないほうが納得感あるけど。

飯塚。お前あのネタから兎を感じられなかったのか。目視したかったというだけで点を下げたのか?

・ファイヤーサンダー②

あぁー勝ちきれねぇなぁこれは。一本目のほうが強い。コントとして申し分ないけど、決勝で誰かを倒すにはサングラスとか校長への直談判とかカットして別の角度をやらねば。そして不良は試合に出場登録してないのでは。予選だったらいいのかな。

◆結

流石にラブレターズではないんじゃないかなぁ。いくらなんでもラブレターズではないんじゃないかなぁ。去年から何の成長も見せられずに、うるせーだけで何にもなってないコントを披露しちゃってんじゃんか。完成度が低すぎて甘く見ても決勝に上がれるほどですらないように見える。

まぁ何でもいいけど。マルコポロリに弄られに来い。