新宿のTOHOにてMX4D 日本語版を観た。
◆面白かった?
ある程度面白くて観る価値はあったけど納得感はなかった。共感できなかったかも。おもてたんとちがう。
宮本茂のインタビューは以下。
映画『スーパーマリオ』宮本茂氏インタビュー | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com (famitsu.com)
6年かけるってすげぇね。
◆味わい
マリオに青色1号を混ぜて捏ねたものに砕いたアメリカをまぶしてバターでグツグツとフライしてシュガーをぶっかけた映画って感じ。起と結が親の顔より見たようなメリケン展開してた。アメリカ映画に必要なイベントがゴスンゴスン容赦なく盛り込まれてます。ありきたり。
途中の展開はちゃんとマリオしてるところもあるんだけど、さればなお始まりと終わりはどうにかなりませんでしたかね。名前の部分だけ変えたら他の映画に流用できるくらいのテンプレセリフが放置されていて嫌です。六年かけた映画のオチがあれって少し納得できないわ。ストーリーに面白い工夫をくれ。
◆キャラクター評
イルミネーション制作って感じの単純明快なキャラ付けが多い。キャラの乗せ方もアメリカだった。英断っちゃ英断なんだけど、ゲームで遊んでる側からしたマリオらしさとかピーチらしさとかドンキーらしさとかクッパらしさみたいなものは再現されてないかも。
▼マリオ
すげぇ喋る。いいんだけどよ。キノコ嫌いっていう設定が極端に無意味だし、アメリカ映画の主人公みたいなメンタリティしてるのもアメリカ映画の主人公かよコイツって感じ。表情もコメディ的な誇張されている部分あって、マリオにそれを求めてしまうのもどうだろうかって印象。
全部俺の勝手な印象だからお前がどう思うのかは知らない。知らないし、映画として商業的に成立させるための組み立てなんだろう。
飄々としていて欲しかったな。根本からの話になっちゃいますけど。マリオが飄々としてるからルイージはビビりで感情豊かなんだろうし。
ミッフィーの映画を作ったとして、ミッフィーっぽくないことしてたら不安じゃないですか。だから映画がミッフィーになるように当て書きするでしょう?そういう意味でも洋画な骨組みありきで作り始めた最初の判断は正しかったんだろうか。売れてるから正しいんだろうな。俺の負けだよ。
マリオに触れてこなかったひとが話題だからってこの映画観て、「マリオってそうなのー?」って聞いたら「 そうなんだよー 」って言えないな俺は。これはゲームのマリオとはまた違う。コーヒーと缶コーヒーとインスタントコーヒーくらい違う。良い悪いじゃなくて違う。別もんとして解釈したい。沢田ユキオのスーパーマリオくんとかそういうジャンルよ。っていうか未だに連載してんのかい。俺生まれる前からだろアレ。
▼マリオの家族
家族いてもいいんだけど「俺の知ってるマリオじゃないんやね」感が半ば確定されてた。ヨッシーアイランドのエンディングが雰囲気良くて切なくて好きなんだけど、そこで描かれてる世界はどういう扱いなんだっけ。
各人の思い描いているマリオのイメージってさほど守る気もなく映画って作ってたの?みたいな。でも俺の知ってるマリオじゃないと思ったゆえ期待値が抑えられて、その後の違和感が緩和されていたのかもしれない。
▼ピーチ
アメリカ映画の強い女性って感じ。芯の強さっていうか露骨に強く設定されている。キャラ付けに奥ゆかしさっていうか加減がないんだよな。7、8分目で止めておけば収まるパラメーターをサクっと10にしてるんで共感しづらい。ふだん隠されていた強さが垣間見えたときにギャップとして心に残るんじゃなかったっけ。
単発の映画だろうからいいのかもって思って観てたんだけど、最後に続編を匂わせやがったから、じゃあ話が違ってきませんか。
イルミネーション映画っぽいカンフーアクション的な動きをしてたのもどうだろう。ゲームで取り得る動きには制限があるんで、そこをあまり逸脱されるとやっぱりイメージが揺らいでしまう。ズルい感じする。ほかのありとあらゆる動きは流石に丁寧に気持ちよく作ってあったんで、過剰な演出だけ不必要だった。
▼クッパ
クッパJrとかも映画に出てないし、もうちょい駄々っ子でもいいのでは。ゲーム(主にRPG系)で表現されるクッパの愛嬌みたいなものを盛り込もうとしてたんだけど、アメリカ映画的悪役オッサンのニュアンスが消し込めてなかった。RPGでは味方側に回ることが多いんでラスボスに据えている映画とは扱いを変えなければならんけど、それでも精神年齢を高く設定しちゃったのがミスマッチだったかも。そこから繰り出される求愛行動もなんだかクネクネしててキモい。意図的にキモくなるように、痛いコメディになるように描いている。やめて欲しいかな。
マリオの正体がわかってないみたいな状態が前半続いていたけど、ファンタジーなんだからテンプレっぽく魔法で遠見くらいしてマリオを憎むような描写してよかったんじゃないの。ありがちにも程があるけど。
あと最終的には溶岩に落とせよクッパなんてもんは。死なねぇから。
▼ルイージ
良かった。あんなもんだと思う。他にキャラクターが合ってたんでいえばカメックもそうでした。
▼ドンキー
どっからあの性格を見出してきたんだろ?全然知らないキャラクターだったからコメントしようもない。
お調子者キャラではあったんだから、例の世界一ウザいアピールとかスクリーンで拝みたかった。
▼キノピオ
キノピオが自分のことをカワイイと自認して口に出すのはどうなんだろ。か弱いという自認は持ってそうなんだけども。それにキノじいとかっていう使いやすそうなキャラは出せなかったんかね。
◆舞台
- ブルックリン
- ファンタジー全倒しという判断はしなかったんだな
- キノコ王国
- あんなにキノコまみれだっけ
- ジャングル王国
- コンゴジャングル呼びで良かったのでは
- ジャングルとカート工場の対比は良かった
- 王ってクランキーじゃなくてキングクルールなんじゃないの
- クッパ城
- 浮かせたのはそれらしかったし話の流れが作りやすそうで良かった
◆MX4D
MX4D™ || TOHOシネマズ (tohotheater.jp)
MX4Dで観るのは確か二回目。悪くなかったけど要らないっちゃ要らない。体験してみるのは良いと思うけど追加料金はかかる。
カートのシーンで傾いたり揺れるのが良かったし、スクリーンの前に煙をもくもくさせて立体感が出るのは面白い。ゴゴゴゴと揺れるのも楽しい。でも背中の衝撃はよくわからんな。客観視されているキャラクターの主観的な衝撃は臨場感に繋がらなさそう。あと風を出すときに「プシュッ」って音が鳴っちゃうのは良くないんじゃないか?
◆その他
- 音楽が良かった
- イルミネーションらしくTake On Meみたいな80年代あたりの洋楽を採用してたけど、ゲームと関係ないから印象が衝突してた。
- マリオ系ゲームのBGMなんて鬼の名曲ぞろいなんだが、なぜ採用しなかったんだろうか。
- エンディングでウィンドガーデンが流れたのは良かったっす。エッグプラネットのほうが好きだけど。
- イルミネーションらしくTake On Meみたいな80年代あたりの洋楽を採用してたけど、ゲームと関係ないから印象が衝突してた。
- 「ヤラレチャッタ」は字幕じゃなくて画面に出す努力をしてほしかったわ
- 小ネタもよかったけどまだ盛れる余地ある
- ワンワンが好きなのでワンワンに活躍して欲しい
◆結
総評としてはアメリカナイズドされすぎてた。かといって雑に作られてたわけでもなかったし退屈しなかった。尺の使い方も良かった。
2が出るとしたら、1でクッパ撃退してから平和な日々が続いてダレてダメダメな日々を送ってるマリオがひょんなきっかけから大冒険に巻き込まれてかつての輝きを取り戻して大勝利する洋画のテンプレ展開になるんだろう。ヨッシーは可愛い見た目のギャップとしてダンディなボイスが当てられてニヒルなバディになる。それがアメリカ。
国産でこの規模の3Dアニメーション映画って作れないんかね?やりゃやれると思うんだけど。
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